Vol.3 Nutrition Guide「プロテイン・ペプチド・アミノ酸」


今やプロテイン市場を独占している感のある「ホエイプロテイン」、
プロテインを購入する際の目安となる「アミノ酸スコア」や「ペプチド配合」の文字、
効果的なからだづくりのためにどんな働きをするのでしょうか。

筋肉づくりとプロテイン

筋肉づくりや育ち盛りの子供たちにのために必要なたんぱく質は、体重1kgあたり約2g(体重が70kgの人であれば約140g)のたんぱく質が必要といわれています。たんぱく質を多く含む食品として肉や卵などがあげられますが、140gのたんぱく質をこれらの食品から摂ろうとすれば、牛肉で約700g、卵では20個以上にもなり、同時に多くの脂肪分も摂ってしまうことになります。そこで脂肪分がほとんど含まれず、しかも高たんぱく質のプロテインパウダーが注目されるようになりました。

ちょっと詳しく
筋肉は水を除くと約80%がたんぱく質からできています。トレーニングなどを行うことによって筋肉は一旦壊され、十分な栄養や休息によって、壊れた筋肉は修復されます。これを何度も繰り返すことによって筋繊維は強く太くなります。これが筋肥大のシステムです。

プロテインサプリメントの種類

プロテインサプリメントには、大きくわけて植物性のものと動物性のものがあります。従来、植物性たんぱく質の代表的なものとしては大豆プロテイン、動物性たんぱく質の代表的なものとしては卵白プロテインなどが一般的に使用されてきましたが、近年「ホエイプロテイン」の登場であっという間にプロテイン市場を塗り替えてしまいました。

ホエイプロテイン

牛乳には3%強のたんぱく質が含まれています。この乳たんぱく質のうち約20%がホエイプロテインで、牛乳からガゼインと脂肪を取り除いたものです。日常ではヨーグルト製品を購入した際、上にたまっている透明な水分(ホエイ)を思い浮かべて頂ければわかりやすいと思います。このホエイプロテインだけを分離して取り出すことは、技術的にもコスト的にも極めて困難だったのです。ところが1990年代になり技術が進歩した結果、ホエイたんぱくを80%近く含んだ濃縮ホエイプロテイン(WPC)、さらに90%以上含んだ分離ホエイプロテイン(WPI)、また、ホエイたんぱくを酵素で分解したホエイペプチド(WPH)など、品質的に優れたプロテインサプリメントが次々と商品化されました。

ちょっと詳しく
WPI製品には、イオン交換樹脂にホエイたんぱくを吸着させる製法と、セラミックフィルターを使い、膜処理技術によりホエイたんぱくを分離する製法があります。後者の中でもCFM(クロス フロー マイクロフィルトレーション)製法は、乳糖や脂肪や変性たんぱくを取り除く最高の技術といわれており、熱に対して非常にデリケートなホエイたんぱくを分離・精製するには理想的な製法といわれています。さらにCFM製法のホエイプロテインは、他の製法によるホエイプロテインに比べ、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、グリコマクロペプチドやカルシウム等のミネラル分も多く含んでいます。


ホエイプロテインの特徴

ホエイプロテインは、他のプロテインに比べ、体内への吸収が速く、たんぱく質の利用率が高いのが大きな特徴で、トレーニング後の筋繊維のすばやい修復に有効に利用されます。またホエイプロテインには全ての必須アミノ酸がバランスよく(アミノ酸スコア100)含まれていますが、なかでも筋肉で代謝される分岐鎖アミノ酸(BCAA)の含有率が高いので、アスリートの筋肉づくりに最適なプロテインといえます。

ペプチドとアミノ酸

たんぱく質に限らずさまざな栄養素は、消化吸収されて私たちの「からだづくり」を行います。食事やサプリメントとして摂取したたんぱく質は、胃や小腸で酵素の作用により、ペプチドやアミノ酸へと分解され体内へ吸収されていきます。消化吸収までの時間は普通の食事で3〜5時間、ホエイを原料としたプロテインパウダーで約2時間といわれています。それに対しペプチドやアミノ酸として発売されているサプリメントは消化態となっているため、30分〜1時間という速さで吸収されます。たんぱく質摂取量の多いアスリートや、胃腸の負担を軽くしたい筋肉づくりに好適といえます。

必須アミノ酸

私たちの身体は約60〜70%が水分で、残り約50%がたんぱく質でつくられていますが、筋肉についていえば、水分を除く約80%がたんぱく質です。これをみても筋肉にとっていかにたんぱく質が重要かが分かります。そのたんぱく質を構成しているのが約20種類のアミノ酸です。多くのアミノ酸は体内で酵素の作用によって合成されますが、9種類のアミノ酸については体内で合成することができないので、食事やサプリメントで摂る必要があります。この9種類のアミノ酸。バリン・ロイシン・イソロイシン・メチオニン・フェニルアラニン・リジン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジンを「必須アミノ酸」といい、そのバランスをスコアで表したものがアミノ酸スコアです。最高は100で栄養的にもっともバランスが良いことを意味します。

ちょっと詳しく
プロテイン、ペプチド、アミノ酸というと、別々のものと考える方も多いようです。それぞれをイラストにイメージしてみましょう。(プロテインパウダーを摂った時をイメージして下さい。)

たんぱく質は右の図のように小さなブロックがいくつも連なってできています。この小さな1つのブロックがアミノ酸です。(実際には数十個から数万個の結合となります。)

摂取されたたんぱく質は、消化吸収されるために(図の入り口に入るため)、酵素の作用で分解され、ペプチドやアミノ酸となります。ペプチドやアミノ酸に分解されるまでの時間は、ホエイプロテインでも約2時間です。ペプチドやアミノ酸として発売されているサプリメントは分解する必要がないので消化吸収が速いことがわかります。

このような過程を経て、摂取したプロテインやペプチド、アミノ酸はわたしたちの「からだづくり」を行います。つまり、プロテインもペプチドもアミノ酸が連なってできたものなのです。


ホエイペプチドとからだづくり

激しい運動やウエイトトレーニングを行った直後、筋肉は疲労し、大きなストレスを受けています。このまま放っておくと、筋肉は回復せず、せっかくのトレーニングもムダどころかマイナスになってしまいます。栄養価に優れたホエイと消化吸収の速いペプチド、それぞれの特徴を兼ね備えたホエイペプチドを、トレーニングの直後に摂取することが効果的なからだづくりとして注目を集めています。

ペプチドだけ摂っていればいい?

「筋肉づくり」「からだづくり」には血液中のアミノ酸濃度を維持することが大切です。30分〜1時間程度で吸収されるペプチドは、すぐに血液中のアミノ酸濃度を上げるため、まさに理想的なサプリメントといえます。しかし、急速に高められたアミノ酸濃度は濃度が下がるのも速いので、長時間にわたって血液中のアミノ酸濃度を維持するためには、ペプチドよりも消化吸収の遅いプロテインパウダーと併用するのが上手なサプリメントの利用法といえます。


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