Vol.8 筋肉と3つのアミノ酸「BCAA」

からだづくりとたんぱく質、必須アミノ酸、グルタミン…とても大切な関係ですが、もう一つのキーワード「BCAA」何か成績表みたいなABC…?BCAAですが「ホエイプロテインには、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の含有量が多いので…」などと目にするとやっぱり気になります。それでは、この分岐鎖アミノ酸(BCAA)とはいったいどのようなものでしょう。

必須アミノ酸のまとめ

私たちの身体は約60〜70%が水分で、残り約50%がたんぱく質でつくられていますが、筋肉についていえば、水分を除く約80%がたんぱく質です。これをみても筋肉にとっていかにたんぱく質が重要かが分かります。そのたんぱく質を構成しているのが約20種類のアミノ酸なのです。多くのアミノ酸は体内で酵素の作用によって合成されますが、9種類のアミノ酸については、体内で合成されないので、食事やサプリメントで摂る必要があります。この9種類のアミノ酸。バリン・ロイシン・イソロイシン・メチオニン・フェニルアラニン・リジン・トリプトファン・スレオニン・ヒスチジンを「必須アミノ酸」といいます。このうちバリン・ロイシン・イソロイシンはその分子構造の特性から「分岐鎖アミノ酸」(Branched Chain Amino Acids)と総称され、その頭文字をとって「BCAA」と呼んでいます。

スポーツとアミノ酸サプリメント

プロテインパウダーはからだづくり、とりわけ筋肉づくりのサプリメントとして、アスリートはもとより、一般 の人々にも広く利用されつつありますが、近年個々のアミノ酸の生理機能が明らかになるにつれ、アミノ酸サプリメントのスポーツ面での効能がスポットライトを浴びるようになってきました。アミノ酸がスポーツサプリメントとして注目される主な点としては、

1.筋力の向上、2.持久力の向上、3.集中力の維持

の三つが挙げられます。これまでの研究で、サプリメントとして生理機能の面で最も重要とされるアミノ酸は、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)・アルギニン・グルタミンと考えられています。


筋肉とBCAAの重要な関係

BCAAは食物たんぱく質に含まれる必須アミノ酸の約50%、筋たんぱくに含まれる必須アミノ酸の約35%を占め、筋肉を構成している筋細組織の素材となって、筋肉づくりに役立ちます。BCAAのひとつであるロイシンは、筋たんぱくの分解抑制と合成促進の両面の働きがあるので、筋力アップには特に大切です。ほとんどのアミノ酸が主に肝臓で代謝されるのに対し、BCAAはその大半が筋肉に運ばれ代謝されます。これはBCAAが筋肉のエネルギー代謝に深く関わっているからです。激しい運動やウエイトトレーニングを行なうと、筋肉中のたんぱく質が分解されBCAAがエネルギー源として利用されます。そこでBCAAを補給すれば、筋肉の損傷をすばやく回復し、筋肉痛や筋肉疲労の防止に役立ちます。さらにBCAAには、血中乳酸値を抑える機能があり、筋肉疲労を防ぐ効果があるといわれていますが、同時に主観的疲労感、つまり気力や集中力の低下も防止すると考えられています。

ちょっと詳しく

「集中力がなくなってきた」「やる気がなくなってきた」長時間のトレーニングを行なっていると必ず経験するこのような中枢神経疲労は、その原因物質であるセロトニンの発生が原因といわれています。負荷の大きい運動を続けると、血液中のBCAA濃度が低下し、トリプトファン濃度が上昇します。その結果 、通常はアルブミンと結合しているトリプトファンが脳内でアルブミンと遊離してセロトニンを発生、これが気力の喪失につながるとされています。このようにBCAA/トリプトファンの濃度の比率が「集中力」「やる気」を左右します。BCAAを充分摂取しておくと、トレーニング中のセロトニンの上昇を抑える、という報告が注目されています。


筋たんぱくの合成とアルギニン

筋肉を増強するためにも、損傷した筋肉を修復するためにも成長ホルモンは不可欠です。アルギニンは大切なアミノ酸です。アルギニンを摂ることによって、筋たんぱくの合成が促進されます、また、アルギニンは、BCAA・グルタミンとともに、アミノ酸サプリメントの主役と考えれています。

BCAAサプリメントの摂り方

BCAAの働きから、トレーニングの直前・直後に摂るのが効果的です。スポーツトレーニングの直前にBCAAを補給しておくと、筋たんぱくの分解が抑制され、直後に補給すれば筋肉の損傷をすばやく回復してくれます。

プロテインパウダーとアミノ酸サプリメント

たんぱく質(プロテイン)は、アミノ酸で構成されています。それなら「プロテインを摂っていればアミノ酸は充分足りている…」と、考える方も多いのではないでしょうか。それぞれのサプリメントの特徴を見てみましょう。プロテインパウダーは、からだに必要な良質のたんぱく質を手軽に補給することができます。筋力アップやダイエット、健康管理まで幅広く利用できる、まさにオールラウンドプレーヤーです。ペプチドタイプのサプリメントは、プロテインの消化吸収性を一段と高めたものですから、胃腸の弱い方がプロテインパウダーの代わりに摂るとか、胃腸に負担をかけたくないとき、例えば間食時や寝る前などに摂るとよいでしょう。これに対し、BCAAやグルタミンなどのアミノ酸サプリメントは、筋肉の合成促進、分解抑制などの役割分担(生理活性機能)がはっきりとしているので、それぞれの目的に合った理想のからだづくりをデザインするのに効果 的です。


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